医療保険でのリハビリには期限がある
短期間のリハビリ
外来や入院など、病院内で行われるリハビリが医療保険でのリハビリ(回復期リハビリ)です。この段階では疾患別にリハビリが実施され、リハビリを受けられる期間に制限があることが特徴として挙げられます。ただし、期間は医師の判断によって延長されることもあります。リハビリを専門としたスタッフを配置している病院も多いので内容は充実したものになりますが、短期間しか受けることができない点がネックです。
具体的には、脳梗塞による脳血管疾患や肺炎、骨折などの急性期治療を終えた高齢者の日常生活を送るための動作能力の向上と社会復帰を目的として行われます。医師や看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士など各分野の専門スタッフが連携してリハビリを提供していきます。患者の疾患や状況を鑑みて自宅での生活を想定し、患者ごとに適切なリハビリを実施していく必要があります。食事動作や入浴動作などの機能回復訓練、さらに家事動作訓練などの応用動作訓練がメインとなります。必要に応じて、退院に向けて高齢者の自宅を訪問して環境づくりのアドバイスを行うこともあります。
チーム医療の重要性
回復期の段階では、集中的にリハビリを行って機能回復を図ることで大幅な回復が見込めます。一方で、心理的問題や経済的問題などが起きやすい時期でもありますので適切なケアが必要です。例えば、「命は助かったものの手足の麻痺はなくなるのだろうか、このままだったらどうしよう」といった不安を高齢者は抱えています。このように大きな不安を抱えている高齢者やそのご家族に対して適切なケアを提供するためには、各分野の医療スタッフが連携して高齢者やそのご家族に対してあらゆる角度からサポートをしていかなければなりません。そのため、リハビリにおいてはチーム医療の在り方が非常に重要となってくるのです。
リハビリ期間について
医療保険によるリハビリ期間は疾患や病名で日数が決められています。脳へのダメージが大きい高次脳機能障害や脳卒中などの重症患者に対しては180日以内、脳梗塞や脳出血は150日以内、大腿骨頚部骨折や廃用症候群は90日以内、関節・神経・筋肉・靭帯の損傷は60日以内と分かれています。これに加えて患者の状態や希望なども考慮し、主治医やチームスタッフの間で相談して決めていきます。退院についてはソーシャルワーカーなどが高齢者に寄り添い、自宅に戻ってからの生活などを考慮しながら準備を進めていきます。