身体だけでなく生活能力の維持向上を行う
回復期リハビリとは違う
生活期リハビリの目的は、高齢者が自立した生活を送れるように日常生活で必要な動作を問題なく行えるようにサポートすることです。リハビリと言うと、腕や足などの機能を失った人が機能回復を目的として行うイメージが強いですが、それはいわゆる回復期リハビリと呼ばれるものです。生活期リハビリはそれとは異なり、普段の生活を通して身体機能や筋力を維持あるいは回復させて自立した生活の支援を行うことが目的となります。一部機能の回復を目的としたものではない点が、高齢者向け生活期リハビリの特徴と言えるでしょう。
高齢者へのリハビリにおいて大切なのは、リハビリを「やってもらう」という意識を持たないことです。むしろ高齢者が自主的にリハビリに取り組めるように導いていかなければなりません。そのためには、リハビリに取り組んだうえで何をしたいのかという目標を持ってもらうことが大切です。目標があればそれに向かって頑張る前向きな気持ち生まれますので、身体機能だけではなく精神面でもプラスになります。また、リハビリによってやれることが増え、それによって新たな目標を設定できます。こういった好循環を生み出し、生きがいを持ってリハビリに取り組んでもらうことが最大の目的と言えます。
介護施設におけるリハビリ職の役割
まず理学療法士ですが、目的となるのは身体機能の回復です。怪我や病気によって失われた身体機能を元通りにするために個別リハビリを実施し、期間内の効果を測定して評価を行います。しっかり効果測定をすることで、今までの取り組みの見直しや今後の方針を明確にできます。次に作業療法士は、理学療法士によるリハビリで完全な機能回復まで至らなかった場合に、現存する機能を駆使して利用者のやりたいことを可能な限り実現するための訓練を行います。脚を自由に動かすことはできないが散歩をしたいという利用者がいれば、それを叶えられるように補助具を利用した訓練を行います。身体に麻痺があっても残った力でできることをサポートする作業療法士は、高齢者が対象となる介護施設においては非常に必要性が高いポジションです。言語聴覚士が介護施設で行うのは、主に嚥下訓練です。嚥下反射を誘発するために冷たい水をなめるアイスマッサージなどを行います。
在宅の場合、作業療法士や言語聴覚士が行うようなリハビリはなかなか受けることができません。そのため、介護施設ならではのリハビリであると言えるでしょう。楽しんでリハビリに取り組めるよう、アクセサリー作りや手芸などと絡めた作業療法が行われています。